2009/10/31

街のカモメの歌のショートショート

夢を見ました。
つがいの鳥が高く高く上って行く夢を・・・

夫鳥は、妻鳥の羽がくたびれていることに気がついていました。
しかし今となっては、かなり高いところにまで上ったために、引き返すことができなくなっていました。

やがて、妻鳥は力尽きて、か細い一声を最後に、土の方へ落ちて行って消えてしまいました。

夫鳥はそれでも、さらに上へ上へと上って行きました。
一晩中続けていました。

空が白くなってきた頃、夫鳥は、涙を流して鳴きました。

「その声が、なんと言っているかわかる?」と私

「うーん・・・わかんない」

「そう、それだ!」

彼の鳴き声を翻訳するとだいたい次のようになる。
なぜ!どうして!わからない!わたしは!
わからない!あなたは!
ああどうして!わたしは!
鳴き声は、天に届くほど大きく、しかしながら細く、そして寂しそうでした。

お日様が出て空気が暖かくなると、ゆっくりと、そしてやがて、まっすぐに、夫鳥は降りて行きました。

「悲しいお話だね、まだ続くの?」

「いや、ここまでだ。でも、実は悲しいばかりじゃないんだよ。」

「どうして?」

「ほら、その、どうしてと言うのは、天の方に向けて放ったのだから。そして・・・」

「帰って行ったんだ、妻鳥の落ちたところに!」

ぱっと明るくなったその顔は、どこまでわかっているのかは知らないが、そこが暖かい恵みのある大地であったことに気付こうが気付くまいが、少なくとも、私がまた歌を作ることを確信し、また心待ちにしている。

確かに、これは悲しい出来事だけなのかもしれない。けれども、土に帰ることの本当の意味が何なのかを、そして、命あるものの魂がどれくらい尊くかけがえのないものなのかを、いつか彼女が知ったとき、もっといい顔をしてくれるように、そんなちっぽけな、たわいもない願い事みたいな夢を、もうひとつ見てみたいと、その明るい顔を見て思いました。

おしまい


キャプションの通りです。
今年の夏に確認したのは札幌の中心をけさがけに流れる豊平川の石山辺り。さすがに冬近くなるといなくなっちゃったみたいですが・・・また来年会えるかな?

これまでにうPした動画のうち出来栄えがいまいちなのは今後ちょくちょく修正してみることにしようかなと。

2009/10/23

いにしえの庭のショートショート

たとえばこんな話・・・

結婚の日を間際に、愛する人が戦争のため出兵しました。
帰郷を待つ間、彼が精魂込めて育てた花々の生きる庭を守らなければなりません。しかし戦争が終わり捕虜としての抑留期間を過ぎても彼は帰ってきません。

もうこの世にはいない人となってしまったのです。

長い年月が過ぎて、やがてその庭は誰も目に留めることさへなくなって、いにしえの物となってしまいました。

この話を聞かせると(まだ話の途中なのに)ミクさんは首を大きく横に振って
「まだ花は咲いているし、その庭も消えていないよ」と言います。

なるほど、形はなくなっても、バーチャルな世界みたく、存在し続けることはあるのかも。でも・・・

ああ、君も英語が堪能なら、あの歌(邦題は・・・花はどこへ行った、だったっけか?)を打ち込んであげられるのにねえ。・・・っと、そんなことを考えていると、ミクさんが、何やら両手で包んで持ってきてくれました。

「ほら」

それは、透きとおったアイボリー色のクローバーの形をした、小さくてゆらゆらとした、今にも消えてなくなりそうな煙のようなものでした。ところどころキラキラしています。

「これ、私の知っている、あるところの庭から採ってきたんだよ」

私は咄嗟に、こちらへ渡そうとする動作を静止させました。

「返してあげなさい」

「そうだね」

ミクさんは胸に大切そうにあてがうと、それは、すうっと、吸い込まれて行きました。

おしまい。
・・

母から教えられた祖父母の戦争体験がヒント・・・実際には彼(祖父)はちゃんとシベリアから帰ってきて、二人とも幸せな余生を送られ、だからうp主もこうして花を咲かせていられるんで、ありがとうございます。

ちなみに祖父の13回忌は祖母の8回忌かそれくらいの回忌と合同だった。祖母は生前、軒下に四つ葉のクローバーを養成することを趣味としていた。今、私の住まいには鉢植えすらないが、実家に帰ると、年中日当たりのよいベランダいっぱいの植物に、運がよければ、出会うことができる。

エンディング

キャプションの通り、オーディオレベルを上げたのと、あとは画像と字幕の切り替えタイミングを若干修正。

2009/10/21

その辺にころがっている革命的なところ

前記事で紹介した応募作品の修応募要領正版
応募要領の補足事項に、10月19日付で「修正版もうpおkっすよ!!」と追記されていたのと、応募作の動画にコメントもいただいていたので、極々短期間ではありますが、ちょっとだけよ。


前作でコメントいただいた方、どうもありがとうございます。
あなた方のコメントがなければ修正に踏み切らなかったかもなのですよ。

範奏部分がめっちゃ後ろになっているのは、キックとドラムと歌声を前面に出したいからですのであしからず。

副題(レボリューション)をくっつけたのは、スレイヤーズ(アニメ)とは関係ありません。また、さるポップスシンガーのお名前とも関係ありません。(そのうち他の作品にも再うpするたび何かくっつけるかもね)

で?
何が革命なのか・・・?
それは、この曲が革命なんだと言うことじゃあぜんっぜんなくて、単に速度を上げたせいで勢いがついて、とても元気をもらった気がしたからです。

「翼が生えて来る気がした」ってーのは、実は作詞の最後の最後にふと思いついて・・・それで締めようとして、後半を盛ってと、そんなこんなで、あっちゅうまにできちゃったものなんですが・・・
無我夢中の勢いってのはすごいですね。

ですので、革命的だなって感じたのは曲のことじゃなく、曲を募集した ProjectDIVA のことに関してなんです。今にして思えば、それは、ぜんぜん一発屋では終わらないようなある種の「得体の知れない意気込み」を感じているってことです。もしかすると、こちらはそのような「気」に、本能的に反応したのかもしれません。

具体的には募集にニコニコ動画をフル活用している点が、いちばん革命的で、象徴的でもあると言います。
コメントが上って、そこから汲み取って修正ができるようにし、応募者が参加するだけにとどまらない。コミュニティーの枠をひとつ取っ払うだけで、こんなに「コンテンツをうpする者達」の重荷を軽減できるなんてすごい!・・・と言ったようなことが、今回の修正版うpの再に強く感じたことです。

どんなにせよ、とてもいい思いをさせてもらったので嬉しくて、どうもありがとうございます。

2010年も面白い年になりそうだ(まだまだ今年は終わらんよだけどね)