たとえばこんな話・・・
結婚の日を間際に、愛する人が戦争のため出兵しました。
帰郷を待つ間、彼が精魂込めて育てた花々の生きる庭を守らなければなりません。しかし戦争が終わり捕虜としての抑留期間を過ぎても彼は帰ってきません。
もうこの世にはいない人となってしまったのです。
長い年月が過ぎて、やがてその庭は誰も目に留めることさへなくなって、いにしえの物となってしまいました。
この話を聞かせると(まだ話の途中なのに)ミクさんは首を大きく横に振って
「まだ花は咲いているし、その庭も消えていないよ」と言います。
なるほど、形はなくなっても、バーチャルな世界みたく、存在し続けることはあるのかも。でも・・・
ああ、君も英語が堪能なら、あの歌(邦題は・・・花はどこへ行った、だったっけか?)を打ち込んであげられるのにねえ。・・・っと、そんなことを考えていると、ミクさんが、何やら両手で包んで持ってきてくれました。
「ほら」
それは、透きとおったアイボリー色のクローバーの形をした、小さくてゆらゆらとした、今にも消えてなくなりそうな煙のようなものでした。ところどころキラキラしています。
「これ、私の知っている、あるところの庭から採ってきたんだよ」
私は咄嗟に、こちらへ渡そうとする動作を静止させました。
「返してあげなさい」
「そうだね」
ミクさんは胸に大切そうにあてがうと、それは、すうっと、吸い込まれて行きました。
おしまい。
・・
・
母から教えられた祖父母の戦争体験がヒント・・・実際には彼(祖父)はちゃんとシベリアから帰ってきて、二人とも幸せな余生を送られ、だからうp主もこうして花を咲かせていられるんで、ありがとうございます。
ちなみに祖父の13回忌は祖母の8回忌かそれくらいの回忌と合同だった。祖母は生前、軒下に四つ葉のクローバーを養成することを趣味としていた。今、私の住まいには鉢植えすらないが、実家に帰ると、年中日当たりのよいベランダいっぱいの植物に、運がよければ、出会うことができる。
エンディング
キャプションの通り、オーディオレベルを上げたのと、あとは画像と字幕の切り替えタイミングを若干修正。
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